2013年5月28日火曜日

光媒の花


「光媒の花」には、切ない物語が、登場人物が少しずつ繋がりながらオムニバス風に綴られている。物語の登場人物は、むしろ不器用で、そのくせ愛しい。

先日、天満橋の小さなマンションで、ミイラ化した親子が発見された。「いっぱい食べさせてあげられなくてごめんね」とメモがあったそうだ。冷蔵庫は空で、残っていたのは食塩だけ、生活に困っていたのだと思う。

母親には、子を死なせた責任がある。しかし、死因が特定できないほど、長い間、誰にも気がつかれないままで亡くなってた。誰とも繋がらないまま、誰にも頼れないまま生活していたんだね。どれほど追い詰められていたのか。

生きていれば、親子でもっと素敵な物語を作ることができたのではないか、メモに溢れる母親の気持ちが、そう思わせる。

なぜ、学ぶことが大切か、もうひとつ、理由がある。生きる力を身に付けること、そして、つまり、しあわせになる力を身に付けることなんだ。母親には、それが、ほんの少し足りなかった。回りも伝えることができなかった。ほんの少しの繋がればあれば、と思う。

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