2011年4月16日土曜日

電話があった その1


電話があった。一年上のクラブの先輩からだ。20年ぶりだろうか、「正月はどこそこの山だった」「・・・が震災でこっちに戻っている」「・・・が亡くなったと聞いた」「・・・は仕事で来れない」とか、一瞬で、その隔たった時間が消える。

4月の末に鈴鹿の麓でOB会を開くことになった。母校の移転もあって、廃部になって久しい山のクラブだ。それでも60人くらい集まるらしい。

今はもうない学生会館の4階にあった部室からは、フィールドである鈴鹿の山を望むことができた。特に夕日が山の端に沈む時間は、見飽きることないほど美しい。元の母校は隣の中学より狭かった。移転した母校は、新しい上にとてつもなく広いけれど、私の母校ではない。なにより見える世界が違う。 

あのころ私は、生意気で、未熟で、やっかいで、おろかで、情けなくて、本当に困ったやつだったんだ。そんなやつでもクラブの仲間は、後輩としてかわいがってくれたし、先輩として慕ってもくれた。あの時間と場所と仲間が、それからの私の人生に希望を与えてくれた。

OB会に行くかどうか迷っている。休みをつぶすことも多くて予定が立てられないことも理由だけれど、あのころの自分に向き合うことや、同時に変わってしまった自分に向き合うのを怖がっているのかもしれない。単なる自意識過剰だけれどね。

どうしよう、どうしようか、本当に迷っている。今の私は、多少なりとも大人のふりをしているけれど、根っこのところでは、少しも変わってはいない情けないままなんだろう。

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