いつものこと

いつものことを少しずつ始めよう。けれど、少し以前とは違う自分になろう。いつものカフェのいつもの席を変えた。入り口に近い見晴らしがよくて書棚を確かめられる席にしよう。仕事ではなく、ゆるやかに時間を過ごそう。少し短めのの、そのくせ命を哄うような大人の絵本からでも始めよう、モノクロの写真集を眺めることから始めよう。読書も３０分と集中できない。一日のうちに３冊ほども読み飛ばしていたのが不思議だ。

ここしばらく、自宅でほとんど引き込もるようにして体を休めていた。ようやく、朝から外へ出歩くことができるようになった。ほんの数時間だけれど、ウルトラマンの３分より、ましだろう。

引きこもっている間、良いこともあった。自宅にいるあいだ、リハビリがわりにキッチンに立っていると、レシピも増える。少し違うスパイスを使えるようになる。いつもとは少し違う自分に戻ろう。

サッチャー元首相が亡くなった。思想心情は異なるけれど、時にリーダーとなるべき者は孤独であることを覚悟することを学べる。しかし、孤独は孤立ではない。孤立しては仕事はできない。心の有り様、決意のようなものだ。その思いは変わらない。