平均的な日本人が海を眺めて過ごす一生分の時間は、とっくに見てしまった。飽きるほど見た。そう思っていた。なのに、フェリーのデッキで浮かんだのは、「海」の唄だった。
うみは ひろいなおおきいな つきは のぼるしひがしずむ
うみは おおなみあおいなみ ゆれて どこまでつづくやら
うみに おふねをうかばせて いって みたいなよそのくに
広くて大きな海に比べれば、私はとても小さな存在だ。それが、むしろ心地よい。「君は、小さくてもかまわないのだよ。」そう言われているようだ。背伸びをしないで、肩肘張らずに、生きて行けばいいよね。見上げると、天空に天の川。それに比べれば、海でさえ、狭くて小さい。 海にはどんな船を浮かべよう。よそのくにではなく、行き先があなたであれば良い。
朝、タラップを降りたら、あなたの笑顔が待っていた。ありがとう。
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