2011年2月8日火曜日

三度目の夜


窓の外は、小さな港になっていてタグボートが並んでいる。小さな子供なら喜びそうな風景を楽しんでいると、なんだかホテルにでも居るようだ。現実には、夜中じゅうナースが出入りし、何かの電子音が遠くに聞こえている。
病室で三度目の夜を迎えた。医者も驚くほどの力強い心臓と肺が、お迎えを送らせている。私は、天候か、もしくは何かの事故で遅れている電車を待っているような気分で、それを待っている。多少の遅れはあっても、それは必ず来るのだ。

その電車が来たときに私は、乗ることができない。片道切符を持った乗客をひとり、ただぼんやりと見送るのだ。もしそこに運転手だとか、車掌が乗っているのなら、どうか安らかに送り届けて欲しい。私は、そう頼んでみようと思う。

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